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力が必要である。もう1つは、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を患いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きるための健康や体力が必要であると総合的に生きる力をとらえております。
こういう生きる力は、学校で机に座って勉強するだけでは身につくものではありません。色々な人や自然と向かい合い、困難と向かい合い、様々の経験をすることによって培われるものです。社会に出て問題にぶつかったときに、自分の過去の経験が多ければ多いほど、問題を解決する能力というのは高まってくるのではないでしょうか。
又、子供に生きる力をはぐくむためには、子供だけでなく、大人も社会全体もゆとりを持つことが必要であるということも中央教育審議会で話し合われております。
子供たちが「お母さん、私の話を聞いて」「お父さん、遊ぼう」と言っても、お母さんは後で後でと言ってなかなか話を聞いてくれない。お父さんは寝たころに帰ってきて、朝起きてみればもう既に会社に出かけている大人にもゆとりが必要です。そこで奥田文部大臣は、5月の末から経済団体5団体に対して、お父さんを早く家庭に返してくださいとか、生涯学習審議会ではこのような提言が出たので、企業もぜひ協力をして下さいとお願いするために、懇談会を持つ予定にしております。
さて、この学社融合という言葉が公的文書の中に初めて登場したのは、昨年7月の国立青年の家・少年白然の家の改善についての報告の中でございました。皆様方の施設にも、この報告書はお届けしてあると患いますが、この協議会の内田会長さん、昨日の講師の四方さん、オリンピックセンターの田原所長さんなどが委員として参加していただきまして、昨年7月に報告が出されたわけでございます。その中には一より魅力ある施設に生まれ変わるために一3つの基本的な方向が示されました。
1番目は、青少年の自主性を育てるということ。
2番目は、学社融合を目指そうということ。
3番目は、国立の施設は地域の中核になろうということでございました。
少しその中身をご紹介しますと、「学社融合を目指して」というのは、生涯学習社会の中で、青少年教育施設の持つ教育力、可能性をフルに発揮し、学校教育と社会教育が融合した形で青少年の育成を図っていこうというものです。
そして、学校と学校外の教育がそれぞれの役割を分担した上で連携を図っていくだけでなく、それ以上に相互がオーバーラップしつつ、融合した形で行われていくことが必要であり、また、むしろそれが自然でもあると述べられております。
また、このような学社融合を図っていくためには、まず青少年教育施設の側が、これまでの枠にとらわれずに、さまざまな面でその教育力をフルに発揮した新しい活動プログラムの開発や事業の展開を図り、学校教育サイドに理解を求めていくことが必要であり、国立青年の家・少年自然の家がその先頭に立っていくことが求められていると指摘されております。
学社融合を実現するための具体的な改善方策として、次のような提言を行っております。
まず1番目は、青少年教育施設の宿泊機能や自然環境などを生かし、環境教育や理科離れなど現代的課題に対応した先導的な事業を開発し、体系的に実施する。
2番目に、実施する事業の質の向上を図り、さまざまな体験活動の教育効果を実証するため調査研究を充実させるまた、学校教育の中で活用しやすいプログラムや教材を開発する。
3番目に、先導的な事業や調査研究の成果を広く普及させるため、効果的な報告書の作成を工夫する。
4番目に、施設の教育機能を十分生かすため、1週間程度滞在するセカンドスクール的な利用や、長期のサマースクール的な利用を積極的に推進する。
最後に、青少年教育施設について、学校教育関係者の理解を深めるために、教員対象や研修事業を充実させる。また、初任者研修や教員養成課程の中に青少年教育施設での活動を実地研修として取り入れる。このようなことが提言されております。
次に、生涯学習審議会の答申についてお話させて頂きます。今、第3期の生涯学習審議会が開かれておりますが、審議事項は2つございます。その1つ

 

 

 

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